魂と踊る夏の夜
~盆踊りに込められた心と體の記憶~
古武術には、技術だけではなく、
心を整え、自分と向き合う大切な時間が含まれています。
そして、私たちの暮らしに活かせる知恵がたくさん詰まっています。
今回は、「盆踊りの楽しみ方」
をテーマにお届けします。
夏の夜といえば、盆踊り。
太鼓の音が鳴り響くと
心も體も自然に動き出すような
気がしますよね。
でも近年では、地域のつながりが薄くなってきて
盆踊り自体が減ってきていると感じる方も
多いのではないでしょうか。
悟空先生はこう語ります。
昔ながらの盆踊り
もし近くで開催されていたら、
ぜひ見に行ってほしい。
そして
“入ってもいいですか?”
と輪に入ってみてほしい。
たとえ初めてでも、参加してみることで、
踊りに込められた“先祖とのつながり”
を感じることができるのです。
盆踊りは“魂と踊る”踊り
「盆踊り」という名前のとおり、
もともとは“お盆”の時期に
先祖の魂を慰めたり
迎えたりするための踊り。
輪になって踊る様子は
まるで帰ってきたご先祖さまと一緒に
手を取り合っているかのようです。
有名な「おわら風の盆」では
踊り手は顔を見せず
静かに街を練り歩きます。
それを見た人々が
「あれ?おじいちゃんに似てるな」
「おばあちゃんの踊り方にそっくりだ」
と懐かしい気持ちを思い起こす。
そんな心に響く踊りも
実際に日本には存在しているのです。
大地になじむ踊り、日本の體の使い方
西洋の踊りが“天に向かう”動きであるのに対し、
日本やアジアの踊りは“大地になじむ”動きが基本。
- 膝をしっかり曲げる
- 股関節をゆるめる
- 足で地面を踏みしめる
このような所作は
相撲の「四股踏み」や
「地ならし」のように、
大地と一体になるための動きでもあります。
そしてこの動きの中には実は
護身術の要素が含まれているものもあるのだとか。
特に女性や子どもが踊りながら自然と身につけられるように、
“踊りに見せかけた護身の知恵”が込められている。
そんなしたたかな工夫も、盆踊りには隠されているのです。
盆踊りを楽しむコツは「輪の中に入ること」
先生が特に伝えたかったのは、
「輪に入ってみる」ことの大切さです。
やぐらを囲んでできた盆踊りの輪は
魂が帰ってくる“場所”として設計されているとも言われています。
つまり、踊りの構造自体に、
「魂との再会」や
「つながりの再生」
といった意味が込められているんですね。
そしてその輪は、
誰でも入ることができる場所でもあります。
盆踊りの場に身を置き、手を動かし、足を動かしてみる。
たったそれだけで、心がゆるみ、體が整っていくような気がします。
日本の踊りに宿る、祖先の記憶
先生が最後に教えてくださったのは、
アジアの踊りに共通する、したたかな民の知恵。
正座や土下座からもいざとなったら
自分のみを守れるような、
いざというときのための
體の使い方が隠されているのだそうです。
盆踊りは単なるイベントではなく、
魂を癒す祈りの場であり、護るための技でもある。
そう考えると、夏の夜が少し違って見えてきませんか?
今年の夏、あなたも輪の中に入ってみませんか?
帰ってきた魂とともに、心と體を動かしながら、
懐かしさと静けさ、そして楽しさを味わってみてください。
※今回のお話は、ラジオでの対談から抜粋しています。
他にも、暮らしに役立つ知恵がたくさん詰まったお話を、ラジオで配信中です。
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